初学者から半年でDELF B2に合格する勉強法(①基礎トレ編)

はじめに

この記事では、私がほぼ初学者から半年間でフランス語の中上級資格であるDELF B2に合格するまでの道のりを紹介します。DELF B2は、例えばJICAの専門家募集における語学要件に使われるなど、ビジネスレベルの出発点とされています。TOEFL iBTでいえばおおむね80点程度の実力ではないかと思いますが、そこまでの英語学習にかかった期間を考えると、かなり効率よく勉強できたのではないかと思っています。

こうした記事はネット上に多く公開されていますが、試験対策や参考書の紹介にとどまっており、フランス語の上達自体をどのように行うのかという観点からの記事は少ない印象があります。本稿では、語学学習(基礎トレ)と試験勉強(傾向と対策)を分けて、ポイントをまとめていきたいと思います。

3つの基礎トレ

私は社会人ですが、ふとしたきっかけでまとまった時間ができ、今後のキャリアでも役立つフランス語を頑張ってみようと決めました。目標はDELF B2。一般的には600時間程度が学習時間の目安とされていますが、私が実際に使えるのは300時間程度でした。

300時間は意外と短いです。多くの初学者の方と同じように、私も学習を始めた当初は1-2か月ほど漫然と語学学校に通っていましたが、このまま続けていても時間内に目標を達成するのは難しいという感覚を得るに至りました。右往左往しながらではありましたが、3つの基礎トレに的を絞って努力したことが、結果よかったと思っています。

基礎トレ①:まとめノートの作成を通じて文法を体系的に理解する

まず行ったのは、CLE社の"Grammaire progressive du francais"のA2/B1編とB1/B2編を一周読み込み、30ページほどの「まとめノート」にまとめなおすというもの。文法体系の全体感を把握することができますし、教科書に沿って練習問題を解き進めるより、まとめノートを丸暗記してしまうほうが、効率的に必要十分な文法を覚えられます。

やってみてわかるのは、中級範囲に絞ってみれば、フランス語の文法体系はそこまで複雑ではないということ。大学の講義に換算すると、たかだか一科目一学期分程度の情報量しかありません。「まとめノート」を作成するうえで意識していたのは、各文法項目について、原則と例外を分けてまとめること。このようにまとめると、大量にあるように感じられる文法規則も、「原則」を構成するのはごく一部であることがわかり、シンプルに理解することができます。このトレーニングにかかったのは20時間ほど。

基礎トレ②:単語帳アプリを用いて単語を「音」で覚える

次に大事になるのは、ボキャブラリーを増やすことです。兎にも角にも単語を知らないことには、言語を理解することはできません。単語学習において単語帳を使うべきか否かは常に議論がありますが、私の場合、単語学習のみに集中することで、学習効果をより早く実感できる点で、単語帳を用いた学習が肌に合っていました。

ここで重要になるのは、単語を「音」で覚えることです。フランス語特有の発音を無視して、カタカナ読みしてしまうのは、私を含めて初学者が陥る典型的な失敗です。これをやっていると、読解はある程度できてもリスニングが絶対に上達しません。

このように単語を音で覚えるうえで私が愛用していたのは、『クラウンフランス語単語』シリーズの初級・中級編でした。あまりにも素晴らしい単語帳なので、長々とAmazonにレビューを書いていますが、アプリを活用することでかなり効率的に学習することができました。このトレーニングにかかったのは50時間ほど。

基礎トレ③:シャドウィングでフランス語を体になじませる

これは大学受験の英語学習において学んだことでしたが、シャドウィングは言語の基礎能力を統合して運用できるようにするうえで、極めて有用なテクニックです。

フランス語独特のリズムを体になじませることで、リスニングやスピーキングの能力が向上することはもちろん、長文をテンポよく読むことができるようになります。また、正確に音源を再現するため、文法により注意を向けるトレーニングになります。

教材は、アテネフランセの先生が執筆している『耳が喜ぶフランス語』を用いました。入門・初級・中級と難易度別に章が分かれています。最初は入門編ですら聞き取れず泣きそうになっていましたが、上記の単語トレーニングと並走しつつ、めげずにシャドウィングを続けることで、中級編まで聞き取れるようになりました。このトレーニングにかかったのは30時間ほど。

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上記3つの基礎トレが終わった時点で、3か月程度が経過し、累計の学習時間は150時間ほどになっていました。ここまでくれば、あとは試験でのアウトプットを意識しながら、点を取るための試験勉強に移ることができます。

次回は、試験対策について書きます。